輝の元へ駆け寄って問う。



「向日葵畑に行こう」



「え?」



「行こう」



輝は私の手を取って走り出した。



訳が分からないまま、私も走る。



「ちょ、輝!」



見上げた横顔。



楽しそうに笑って。



ギュッと手を握り返す私に、輝は振り返って笑って見せた。



当たる風も、通り過ぎる人も、なびく髪も、全てスローモーションに見えた。



世界には、私たち2人だけのような感覚。



とっても幸せな気持ち。



このまま2人なら飛べるんじゃないかと、笑ってしまうような考えさえ浮かんでしまう。



角を曲がり、入り組んだ住宅街。



そこを抜けて、路地裏に入ってゆく。