待ってもらうばかりでは、背中を追いかけるばかりでは、輝はいつか遠くへ行ってしまうだろう。



だから今、私はあなたに追いつきたい。



追い越さない。



追いかけない。



同じ歩幅で、歩けるように。



同じ時を、刻めるように。



「私も…、好きだよ輝」



震える声で伝えると、輝は私の頭の後ろに手を回し、そのまま自分の肩へと促した。



ギュッと、輝が私を抱きしめる。



輝の背中に、そっと触れた。



「もう一回、聞きたい」



耳元で声がする。



私は輝の背中に回した手に力を込めて、もう一度言葉を紡いだ。



「好きだよ輝」



この体温が、この鼓動が、触れる手が、肩を抱くその強さが。



私はずっと前から…



「雫輝」