「で?」


駐輪場に連れてかれ、まるで尋問。



言わなくても俺が何を聞きたいか分かるよな?



そう言いたげだ。



私は必死に、輝の剣幕に脅されないよう目を逸らす。



「私が早く学校来てちゃだめなの?」



「おまえが早く行こうが遅く行こうが別にいいけど?」



「じゃあ何でこんなことしてんの?」



このとき初めて輝の目を見た。



少しだけ目を細め、私を見下ろすその目を、力強く見つめ返す勇気が私には足りなかった。



力なく目を伏せる。



「今までの日常をいきなり変えられたら、誰だって焦るだろ」



輝の声が降ってくる。



いつもより少し低い響く声が。



「早くても遅くても構わねーけど、一言くらいあっても良かったんじゃねーの?」



その通りだ。



いつも一緒だったんだから、一言くらいないと輝は私を待ち続ける。



それくらい私も分かっていた。



「俺だって人間なんだから心配の一つや二つするんだよね」



輝の影が少しだけ傾く。



私は影を見つめることしかできない。



頭をあげ、目を見ることができない。