「先輩への気持ち、冗談でも否定なんかできねーし、無かったことになんて、できないんすよ…」



息とも区別のできないような、耳を澄まさなければ聞こえない声は、私の耳にやけに響いた。



「伊澄くん…?」



「軽い気持ちなんかで、言ってないですから」



いつからだろう。



伊澄くんが隣で、私を気にかけていてくれるのが当たり前になったのは。



いつからだろう。



伊澄くんという存在が、後輩ではなく、支えになっていたのは。




「ねえ先輩…付き合おうよ」



我慢できずに、溢れてしまった涙が、頬を伝い地に落ちた。



伊澄くんは、私の答えが何かなんて分かり切っているような、そんな目をしていて。




そんな目を見るのがやっとで、言葉が喉に詰まって出てこない。