「びっくりしただけだから…」



「ふーん」



乾いた笑いしか出なくて、冷や汗が大量に吹き出る。



これは何か会話しないといられないかもしれない。



「わ、私たちがコンビになれたっていうのも、なかなかすごいよねっ」



咄嗟に出た会話は、こんなこと。



伊澄くんは私を見て、何度か頷きながら言う。



「確かに…。運命ですかね?」



「運命って…」



伊澄くんのそういう冗談にはもう慣れた。



逆に聞き飽きたくらいだ。



「伊澄くんはいつもそうやってからかうけどさ〜、好きな人とかいないの〜?」



歩きながら、軽い気持ちで伊澄くんに問うた。



女子友達と恋バナをするみたいな、ほんの軽い気持ちだ。