「さ、行きますよ先輩」



そうして私たちも、森の中へ足を踏み入れた。



森の中は、木に囲まれているせいか気温が少しだけ低くなっているようだ。



冷たい空気が肌を撫でていく。



「気温まで雰囲気作りになってる…」



「完成度高いっすね」



伊澄くんは本当に余裕なのだろう。



なんともないような顔をしている。



「あれ火の玉ぽくないすか?」



伊澄くんが指差す向こう。



青白い炎が、宙に浮いている。



「ひ…っ」



思わず喉の奥から声が漏れる。



そんな私を見て、伊澄くんはニヤッと笑った。