なにも知らない人たちは、知ったように口を叩き
まるで本当のことかのように、つじつまを合わせようとする。



そんな事実、どこにもないのに。



「男ならルール守ってほしいね」



「まあ所詮オトコってことだよね〜」



ケラケラと笑うその子たちに、ついに口を開いかけたとき



「っ」



伊澄くんが、私の手を握ってそれを制した。



「余計めんどくさくなるだけです先輩。抑えて」



伊澄くんの手の中で、私の手が震えていた。



「気にかけてくれてたんだね」



「そりゃ後ろで先輩が気にしそうなこと話してますし」



冗談混じりに言う伊澄くん。



なにそれ、と私も笑った。



「次9番!」



ついに私たちの番がきた。