親指をたてる伊澄くんに、苦笑いで答える。



「次8番!」



そうして8番の、輝と芽依ちゃんコンビが森の中へと入って行った。



どこかよそよそしい2人。



「あの2人がコンビになるなんて、なんかずるいよね」



と、裏で話し声。



後輩同士で、輝と芽依ちゃんのことを話しているようだ。



「どうせ輝先輩が頼んだんじゃないの?芽依と一緒にしてくれ〜ってさ」



「正々堂々とやってほしいよね〜」



握り締めた拳が、小さく震えた。



どうしてそんなこと言われなくてはいけないのか。



『何も知らない人って、ほんとに幸せなんだなって心底思うよ』



プールで輝が言った言葉。



それはこういう意味だったのかもしれない。