ガチャン、と鍵をかけた輝が、安堵の溜息を零す。



輝は繋がったままの手に気づいているのかいないのか、その手を離そうとはしなかった。



私は静かに鼓動が速くなるのを感じていた。



「どうして会ってあげないの?」



薄暗い部屋で、顔さえはっきりしない中、輝に問う。



「…抱いてほしいって、言われるからだよ」



答えを待っていた私の耳には、想像もしていなかった言葉が届く。



「…抱いてほしい…?」



「無理して笑って言うんだよ」



息が混じったような声に、胸が疼く。



繋いだままの手から、脈が聞こえてしまいそうだ。



「本当に抱いてほしい人に、抱いてもらえないから」