部屋を出て、しばらく歩き2階へ続く場所まで来たときだ。



芽依ちゃんが2階へ行くのを見た。



つまり男子の階だ。



輝に会いに行ったであろうことくらい、容易に察しがついた。



「ふぅ…」



チクチクする胸の奥を、感じない振りして自販機の前までやってくる。



ジュースを選んでいるつもりなのに、種類が頭に入ってこない。



適当にボタンを押した。



____ガゴンッ



落ちてきたジュースを拾い、近くにあった長椅子に腰を下ろす。



しーんと静まっている廊下には、部屋で騒ぐ女子の声が聞こえるだけだ。



プルタブをはじき、乾いた喉を潤す飲み物を流す。



なんだか、味を感じない。