向日葵色の恋【完】

幼なじみの関係なのに、どうして私がイライラしなければならないのか。



バカバカしくもあり、恥ずかしい感情だと気を取り直した私は、



「帰ろっか」



笑顔で輝に話しかけた。



「後ろ乗る?」



自転車の後ろを親指で差し、私を促す。



なんだかくすぐったい気持ちで頷くと、輝が自転車に跨った。



「なに笑ってんだよ」



「笑っちゃだめなの?」



「キモチワルイ」



「鏡でもみたの」



バシッと私の頭を叩いた輝は、自転車を漕ぎ始めた。



外灯もポツポツとあるだけの田舎道。



夏の風に乗って土の匂い。



「ねえ輝ー」



「んー?」



振り向かない背中が、私の声に反応した。



時々、自転車の揺れと共に揺れる背中は少しだけ汗ばんでいた。