待ち合わせから10分遅れて、先生はシルバーの普通車に乗って駅に迎えに来てくれた。

先生を待つ1分、1分がものすごく長い時間のようで、先生の車が見えた瞬間、あたしは嬉しくなって周りの目も気にせず大きく手を振った。

先生は、あたしの前に車を止めると、車の中から手招きをした。
あたしは急いで先生の車の助手席に乗り込んだ。

「知佳、久しぶり。」
「お久しぶりです。」

2人揃って微笑んだ。

あたしは、久しぶりに会った先生になんだか少し恥ずかしくなってしまい、先生の横顔を見ることが出来なかった。


周りから見たら、カップルに見えたのだろうか。
それとも、兄妹に見えたのだろうか。
先生の隣は、いつもと同じあの香水の匂いがした。