今になって思い返してみたら分かることがある。

この時、先生はきっとあたしには絶対出来ないと思っていたんだ。
出来ないって分かっていたからこんなこと提案したんだ。
 

けれどこの時のあたしは、先生のそんな思いに気付くこともなかった。

反対に、先生とデートができる。
先生がご飯の約束をしてくれた。

そのことが、嬉しくて、嬉しくて、あたしは天にも昇る勢いだった。

単純なあたしは、その日から今までにないくらいさらに真面目に授業に取り組んだ。

先生はそんなあたしの姿を見ていつものように微笑んでいた。

不思議なことにヒロアキがいなくなってから毎日のようにリストカットしていたあたしが、先生と出逢ったことで、その頃にはリストカットをほとんどしなくなっていた。