通夜までまだ少しだけ時間があった。

ヒロアキの父親に10分だけヒロアキと2人だけになりたいと願い出た。
父親は静かに頷くと2人きりにしてくれた。


あたしの眼の前でヒロアキは静かに眠っていた。

握った手も、もう冷たかった。

ヒロアキとのこれまでのこと喋りかけた。

たった2ヶ月と短かったけれど、ヒロアキにはまだ伝えたいことがたくさんあった。


出来るだけ笑っていようとしていたのに、涙は止まらなかった。

時間はあっという間に過ぎてしまった。
 


あたしは最期に静かに眠るヒロアキにキスをした。

ヒロアキとの最期のキスは冷たい涙の味がした。

ヒロアキとの恋愛は、冷たいキスで終わりを告げた。