あたしが部屋に入ると、その場にいた、みんなの視線があたしに注がれた。
「……どうぞ……」
憔悴しきっている母親が、あたしをヒロアキの前に案内する。
あたしはヒロアキの前に座った。
きっと顔をみたらヒロアキと嫌でも認めないといけなくなる。
「顔……。顔を見てあげて下さい。」
母親が鼻をすすりながらあたしに言う。
あたしは頷くと白い布を取った。
少し青白い顔して、静かに眠っているヒロアキがそこにいた。
「ヒロアキ……どうして?……」
それを言うだけで精一杯だった。
顔を見た瞬間に、あたしはヒロアキの死を認めなければならなかった。
あたしは涙が溢れてくるのを止めることが出来なかった。
ヒロアキの顔が、ヒロアキの手が冷たい。
どうして寝ているんだろう。
どうして話をしてくれないんだろう。またギター弾いてよ。
いつもみたいにモノマネして笑ってみせてよ。
ドライブもう一緒にいけないの?
ヒロアキは、どこにも行かないって行ったのに……

