カテキョ。

気が付くと、もう夜が明けていた。

カーテンから漏れる太陽の光で今日も晴天だということが分かる。

陽は疲れて、横で静かに寝息を立てていた。

あたしは起こさないようにして、洋服を着て、ご飯を作ろうとキッチンに立った。


キッチンに立って、リビングのソファーで寝ている陽を見ていると、ダイニングテーブルに小さな小箱とメッセージカードがあることに気付いた。


手にとってメッセージカードには、陽からの愛が書かれていた。
 


―イイ女になった知佳へ。結婚しよう―

―32歳の誕生日のプレゼントは、知佳というお嫁さんが欲しいです(笑)―

小箱の中には指輪が入っていた。


あたしは涙が止まらなかった。
 

この人と幸せになる。

本当の幸せを手に入れたと心からそう思えた。


8月15日、陽の32回目の誕生日は猛暑日だった。

太陽はキラキラどころかギラギラと輝いていたけれど、あたしたちの未来のように雲ひとつない晴天だった。