「あの、先……、村上さん、利用者の顔を出さないということなら可能とのことです。」

そう、答えながら、自分が今、先生と言おうとしたことに戸惑っていた。

もう先生ではないのだと自分に何度も言い聞かせた。


カメラマンは気付いていなかったけれど、先生はそんなあたしに気付いたのかクスリと笑って

「佐藤さん、ありがとう。」

そう言った。

先生に佐藤さんと言われるとなんだかすごく切なかった。


仕事だと分かっていたのに、以前のように知佳と呼んでもらえないことが切なかった。