「会いに行く日、とうとうこの日が来たかって感じだった。でも、知佳はちゃんと自分の気持ちに蹴りつけて俺に戻ってきたでしょ。それだけで十分だった。」

シンちゃんのあたしに対する愛が十分過ぎる程に伝わったと同時に、ものすごく自分の行動を後悔した。

涙が止まらなかった。

こんな時、もしかすると責められて、これ以上ないって位に怒られるのなら、私の気持ちは楽になったのかもしれない。

でも、それでも、シンチャンは優しくて、怒りもせず、私のことも責めなかった。

私は、シンチャンが今まで言わずにいたこと、ずっとずっと傷つけていたことを知ってしまい、何を言葉として紡ぎ出せばよいのかすらわからなかった。


「知佳は、自分で行動して、解決しないと納得しないでしょ。だから、そのこと責めるつもりは全くない。もし責めるなら、こんな時には言わないし。」

シンちゃんは運転しながら、左手であたしの頭をなでた。


「知佳が俺のこと、きちんと考えてくれていることも分かっているからさ。」

そう言うと、シンちゃんはまた黙った。

車の中は、ラジオの声とあたしの鼻をすする音だけが聞こえていた。