就職して1年が経った夏のことだった。

夜に海ほたるを見に行こうとシンちゃんに誘わせて、夜の浜辺に出掛けた。

シンちゃんは、付き合い始めてからずっとあたしの気持ちをすぐに察してくれていた。

だからシンちゃんとは、自然体でいることができたし、過去のことも話すことが出来た。


この人と結婚するのだろうと思っていた。

「綺麗だね。」

シンちゃんが浜辺に打ち寄せる波を蹴ると、その刺激に反応して、海ほたるが青白く光った。


何度も、何度もシンちゃんが波を蹴る様子を、浜辺に座って眺めていた。

シンちゃんは疲れたのか、肩で息をしながらあたしの横に座った。

「もうびしょびしょ。」

そうやって笑うシンちゃんにあたしも笑顔を見せた。
 
後ろの方では、高校生らしきカップルがベンチで愛を囁いていた。


あたしとシンちゃんは黙って海を眺めていた。


いつになくシンちゃんが真剣な顔していることが気になった。