車内では一言も話すことなく、あたしを乗せた先生の車は空港に着いた。


無言の時間が2人にとって気持ちを整理する時間になったようで、あたしも先生も笑っていた。


あたしたちを周囲の人が見たら、きっとカップルに見えるだろう。

あの時のように兄妹に見えたりしないだろう。

それだけ、この3年の間に、あたしたちは変化したのだと感じた。

「先生、これで本当にさようならですね。」

「あぁ、そうだな。」

「先生、本当に今までありがとうこざいました。」

あたしはあの家庭教師が終了した日にきちんと挨拶が出来なかったことを思い出した。

だからきちんと頭を下げてお礼の言葉を伝えた。

「こちらこそ。」

そう言いながら先生は笑っていた。