「最後にキスしてもいいかな?」


先生がそんなことを言う人だとは思っていなかったあたしは、驚いた。


けれど、頭のどこかにある冷静な部分で、先生とのさようならの、最後のけじめとしてあたしの青春の終わりのページに刻んでおこうと思って、ゆっくりと笑顔で頷いた。


頷いたあたしをみて、先生は穏やかに微笑んだ。

先生の腕が伸びてきて、あたしの髪を優しく撫でた。

先生に見つめられて、あたしは動けなかった。


そしてゆっくりとあたしの唇にキスをした。


少しだけタバコの臭いのするキス。


静かに、やさしいキスだった。