先生の告白に、あたしは黙っていた。

先生が隣であたしの横顔をチラッと見ながら話を続けた。


「昔、女の子たちがよく言ってたじゃん。１番好きな人とは結婚できないんだよって。俺さ、そんなこと言われても、そんな馬鹿なことあるわけがないと思ってた。でも今になったらそのことがなんとなくわかるよ。」


あたしはそんな先生の言葉を静かに聞いていた。


先生は、それだけ言った後、しばらく何も言葉を発することはなかった。

あたしも黙って前を見ていた。


ふと、あたしの方を見て言った。


「俺、もうすぐ結婚するんだ」


あたしは驚いて、先生を振り返って見た。

意外にも先生との顔の距離が近かったから、あたしはまた前を向きなおした。


そういえば以前、こうして先生にキスされたっけ、なんてそんな甘酸っぱい思い出を懐かしむ程の余裕はなかった。