あたしたちは、市内が一望できる山上のパーキングスペースに到着した。

車から降りると、太陽が出ているにも関わらず、少し肌寒かった。

それでも空気は澄んでいて、気持ちがよかった。

風が強くて、首に巻いていたスカーフがなびく。

それがまた気持ちよかった。


「風が強いから車の中で話をしようか。」

先生にそう言われて、また車に乗り込んだ。

先生の車の中ではゆったりとしたレゲエの音楽が流れていた。

あたしたちはお互いのことを探りながらまた自分のことを話した。

聞きたい話もどこまで聞いていいのか分からず、話はあまり先へと進まなかった。

あたしにとって、それがもどかしかった。


あたしは、やはり先生にはいいところばかり見せたくて、言えない事の方が多かった。

先生も同じように隠して置きたい事が多いようだった。