あたしは一瞬、以前の自分やシンちゃんのこと、色々なことが頭の中に浮かんできて動揺してしまった。
だから、先生に動揺を気付かれて欲しくなくて話を反らした。
「でも、先生も変わりましたよ。」
「大人の男って感じがします。この間、ガソリンスタンドで見かけた時、最初誰か、分かりませんでした。」
先生はあたしのその言葉を聞いて笑った。
「３年前も大人だったんだけどな。」
「ますます、大人の男っていう意味です」
先生の言い方を真似して、冗談交じりに笑いながら言った。
けれど、先生はそんなあたしの冗談をよそに、急に真面目な顔に戻って、
「俺も、あの日、最初は知佳のこと気付かなかったよ。でも目があったときにすぐに知佳だってことが分かった。」
あたしはそれを聞いて、心の動揺が激しかった。
