「まっ、知佳はいつまでも俺の生徒だから。しっかり勉強してさ、いい大人になりなさい。俺が後悔する位、いい女になりなさい。」


先生はあたしに背中を向けたまま、明るく言い放った。

それは先生のさようならの言葉の様に聞こえた。

先生の言葉に茫然としてしまったあたしに先生は振り返り、いつものように先生としての優しい微笑みをあたしに見せた。


そして、あたしの頭を軽く撫でて店の奥にあるスタッフルームに入って行った。

先生があたしの横を通り過ぎる時の匂いは、いつもの香水の匂いだった。


先生と出会ったあの日、あたしが一目ぼれしたあの日と全く同じ香水の匂いがした。