その時だった。


通りの向こう、多分100mか50mくらい向こうから歩いてくる人が見えた。

あたしにはそれが誰だかすぐに分かった。

茶髪に背が高いというただそれだけで、先生だとすぐに気付いた。


特徴となるようなものなんてなかったし、先生とはもう半年近く会っていなかった。

でも好きな人を目で追ってしまうということと同じようにあたしは先生を、あのたくさんの人ごみの中から見つけた。


あたしは嬉しすぎて、一気にテンションが上がってしまった。


繁華街の大通りにはたくさんの人がいた。

あたしも友達と一緒だったけれど、そんなことはどうでもよかった。


あたしは先生に大きく手を振った。


先生は、徐々に近づいてきた。

近づいてきて、自分に手を振られていることに気付いたような顔をした。


あたしはただただ、嬉しかった。