当たり前だけれど、先生との今回の一件はショウヘイには秘密だった。

秘密があるからこそ、なおさらショウヘイには優しく出来た。

先生との一件があっても、外すことが出来なかったブレスレットはいつのまにか優しくあたしの手首になじんでいた。

それを見る度、ショウヘイのことを思い出した。


それでもブレスレットの魔法も解かれようとしていた。

あたしは先生との一件をきっかけに自分の気持ちに気付いてしまった。

本当に好きなのは先生だということを確信してしまっていた。

でもショウヘイに対する情の気持ちが大きく、先生と付き合うことは出来なかった。


あたしがショウヘイと付き合っているのは、淋しい気持ちを埋めるためだということ、そして情やブレスレットを貰ったことに対する感謝の気持ちが強くて、付き合っているということにも気付いてしまった。

そこに「好き」だという気持ちが存在しないことに今更ながら気付いてしまった。

あたしはこのままではショウヘイにとっても、あたしにとってもいけないと思った。