先生が駐車場に車を止めると、車の中で2人でオレンジ色の空を眺めていた。

この沈黙が初めて心地いいと感じていた。


沈黙を破るのはやっぱり先生だった。

「知佳。正直な話をしていい?」

「はい。」

あたしは、先生は何を言い出すのかも、何を意図しているのかも全くわからなかった。

「俺さぁ、前、バイト中に知佳に告られたでしょ?」
「え?」


思い出して顔から火照っていくのがわかる。

胸のドキドキという鼓動が音となりいまにも聞こえてしまいそうだ。

「春に知佳の家で。もしかしてもう忘れた?」
忘れるわけがなかった。

何も言えずに首を横に振ることだけで精いっぱいだった。


「あの時は知佳のこと妹にしか見えなかった。ドライブ行った時も妹にしか思えなくて、もしかしたら時間が知佳の気持ち、諦めさせてくれるって思ってたよ。」