あたしはその日、サキの言葉や笑顔が目に焼き付いて離れなかった。

「陽さん」というサキの先生に対する呼び方やサキの笑顔。
サキと先生のことを想像するだけで胸が苦しかった。


その時のあたしは嫉妬の塊だった。

ただのヤキモチだったけれど、真っ直ぐに先生を思い続けていたあたしの心が折れてしまいそうだった。


その夜、あたしは眠れなかった。もともとマイナス思考だったせいか、眠れないと考えはさらにマイナス、マイナスへと突き進んでいってしまった。


あれだけまっすぐに信じていた先生の
“それまで俺も待ってる”
あの言葉さえ、だんだん信じられなくなっていった。