サキが楽しそうに笑っていた。

ものすごく幸せそうに思えて、あたしには胸が不安で押しつぶされそうで仕方なかった。


「陽さんって意外にイケメンだよねっ。」

サキは言う。
きっとあたしの気持ちにサキは、気付いていないと感じた。

「なにか、先生はあたしのこと話してた?」

「ううん。特に何も。知佳ちゃんの家庭教師をしていて、数学を教えていたって陽さんに聞いたから、ちょっと聞いてみたんだ。」


サキの答えに合わせるようにして始業のチャイムが鳴った。

サキはニコニコしながらあたしに手を振り、教室へと帰っていった。