「俺が知佳と普通に出会ってさ、同じ状況なら間違いなく付き合っていると思う。」

あたしは何も言えなかった。


「俺は、知佳のカテキョでしょ?知佳の家からお金貰って、知佳に勉強を教えるっていう名目で会っていたでしょ。だから俺は知佳の受験に対して、すごい責任を感じているよ。」


私は俯くしか出来なかった。

それでも先生は続けた。


「俺だって人間だから好きになったら毎日でも会いたいと思うし、いろいろあるじゃん。…………でも、知佳の家からお金を貰っていた以上は、簡単に付き合って、恋愛優先させて勉強疎かになって志望校落ちました。なんて洒落にならないじゃん。」


先生は真面目な男の人なのだと改めて思った。


「知佳の受験が今年中に決まるなら、それまで俺も待ってる。その時、知佳が俺をまだ想っていてくれたらしっかり俺も考えるよ。」


推薦入試で合格すれば、あと半年もない。


あたしはきっと先生を想い続けることが出来ると、そう思えた。



たかが半年、先生のことを好きでい続ける自信があった。