「どこ行く?」
先生はあたしに聞いた。


「どこでもいいです。先生が行く所ならどこでも。」

先生はあたしのその言葉に笑った。

それはいつもみたいなニコニコとした穏やかな微笑みではなかった。

あたしの家で勉強を教えてくれる先生とは違う、とても無邪気な笑顔だった。


「じゃあ、知佳は何が食べたい?」
「だから、何でもいいです。」

同じパターンの話の繰り返しがおかしくて、二人で笑ってしまった。

なんだかカップルのちょっとしたデートみたいであたしは幸せだった。

「じゃあ、たまには知佳ともゆっくり話したいから、ファミレスとかでいい?」

先生は車を発進させながら提案してくれた。

「はいっ。」

あたしは即答してとびきりの笑顔を見せた。
先生は、ドライブしながら家から離れたファミレスに連れて行ってくれた。