「もうすぐ着くよ。用意は出来てる」

携帯に耳をつけると、なんだか尾上さんの甘い声がする。朝から必要以上に甘いみたいな…

「大丈夫です。今から大通りまで出ますから」

電話ごしに驚いたように息を呑むのが聞こえた。用意してあったバックを手に取り、窓と火の元を確認して部屋を出た。

鍵を掛け、階段をダッシュで下り、勢いのまま大通りまで走る。



キョロキョロと見回してみたものの、まだ車の通りは少なく、尾上さんはまだだった。

ドキドキと鼓動がうるさい。走ってくるのは大人げなかったかもしれない。

少しでも早く会いたい、そばに行きたいと思ったら体が勝手に動いていた。





これから高遠さんに会えるんだ…

そう思ったら顔がふにゃふにゃと崩れてしまう。