「違うの!アタシの書きたいのはね、身分の違いを乗り越えた愛とか、バトルアックスで敵を薙ぎ倒す爽快感とか、格好いいワイルドな騎士なのよ!そこいらのヘタレ男子なんかダメ!」



遥香は納得していないらしく、紙パックを手で振って中身を確認している。

ぱちゃぱちゃと小さな水音がアタシの耳にも届く。



「……付き合ってみたことないのに決めつけることナイよ……?」



その言葉にアタシも不機嫌になる。



「だって、付き合ってみたいってくらい素敵な人いないんだもん」



回りにいるのは、既婚者のオヤジ。確かにいい人達ではあるけれど、恋愛対象にすらならない。



「……未也が付き合う気があるなら…いくらでも紹介するのよ?」



「うん…紹介とかもアリなんだとは思うけど、アタシ運命の人とはドラマチックな出会いをしたい」