君までの距離


「あの、話が見えないのですが…どちら様ですか?」

ごくりと唾を飲み込んだ。新手の詐欺だったらどうしよう…

『ああ、どちら様?アタシ花山って言うのヨロシク~アタシあなたが書いた脚本賞で審査員してたの~で、良かったらウチで書いてみない?もちろん、今のままじゃダメよ。ビシビシしごくけどついて来れるなら、使ってあげるわぁ』

「えっ…ほ、本当ですかっ…!!」

思わず体が前のめりになって、じわっと体温があがるのを感じた。

アタシの作品、審査員が読んでくれたんだ。小説の賞だと、まず下読みという人がいて、そこで大半がふるいに掛けられて落ちてしまう。そこからさらに二次審査、三次審査、最終審査とふるいに掛けられて、最終的に残ったものが入賞作品になる。もっとも、大きな小説の賞でさえ不作の年があって入賞作品が出ない年もある。

『あなた三次まで残ってたじゃない。アタシはそこから審査に入ってたわけよ』