走り去っていく高遠さんの背中と入れ違いに、マネージャーの蓮見さんが歩いて来る。 「ご迷惑かけてすみません」 アタシの言葉に眼鏡の奥の瞳を緩める。 「どうかお気になさらないで下さい。これが仕事ですから」 スーツのポケットから携帯を取り出すものの、そこで手が止まる。 アタシが慌てて携帯を取り出しても、ただじっとアタシを見つめていた。 「お分かりかと思いますが、確認させてください。あなたは裕也とどうなさるお積りですか」