「あの人はなんで俺が怒っているのか理解してない。でなけりゃあなたを寄越すはずがない」



高遠さんは、ふいに力強くブランコを漕ぎ始める。

「写真週刊誌の目があるかもしれないのに…?」

「そう。俺まで目を付けられることになってきた。あなたも一緒に居たら写真を撮られるから、早く帰ったほうがいいよ」



速さの違うブランコは距離が縮むより、離れていることのほうが多い。

気持ちがすれ違うみたいに行ったり来たりする。