うだうだとパソコンに向き合い、入力をしていたアタシの所に遥香がやって来た。

「……どう…終わる?」

「ん~もうちょっとなんだよね」


髪が乱れるのも構わず、がしがしと頭をかいた。苛々した時のくせで、あまり女子力の高い仕草とは言えない。



「…そう。この前…買い物後で撮影現場に遭遇したでしょう?…その時のドラマが今日から放送されるそうよ…」

「あぁ!あの時の」



人気俳優が出番待ちをしていて、アタシが突き飛ばされた現場。

忘れたくても忘れられない。アタシが彼と出会った場所なのに。今だに彼に繋がる糸は見えない。