「そんなにしょっちゅう環境が変わったら、落ち着かないですね」

にこりとした笑みが深いものになる。


「仕方ないよ。そういう仕事だから。ずっと仕事をしてたら、また同じスタッフに会えることもあるはずだからね。今回はよろしくねスポンサー様」

「そうだよ。高遠さんが選ばれるように影ながら尽力したんだから」

「それはありがたいね。次もよろしくね」



そしてお互いの顔を見つめて、声をあげて笑った。なんてことのない会話だったとしても、アタシの耳は一言も聞き逃すまいとしていたし、目は姿を捉えて網膜に焼き付けていた。