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「…じゃあ今日は先生の都合でホームルームはなし。また明日〜」

『ありがとうございました』

挨拶をするなり鞄を持つ。

「あれ?なんか急いでるの?結乃」

そう言う咲ちゃんの言葉にうんっと頷く。

「今日ね、寝坊したお詫びにはる君を迎えに行くのっ!
やっとだよ?打倒風宮悠真っ!」

「打倒って…」

そう言ってガッツポーズをつくる私に苦笑してから、

不意にピタッと動きを止める咲ちゃん。

「…待って?今なんて言った?」

「え?…打倒風宮悠真?」

もう一度そう言うと咲ちゃんが一瞬にして固まる。

「……風宮、悠真…?」

「うん、はる君のことだよ?
どうかした?」

そう言うと咲ちゃんは顔面蒼白になってガタンと席を立った。

「…行かないほうがいいよ、結乃」

「え…咲ちゃんまで、どうして急に…?」

そう言っても首を横に振る咲ちゃん。

「…だめよ、まさか"はる君"が風宮悠真だったなんて…学校なんて行ったら…」