「はっ…はる君に…
……触らないで、ください…」

最後は小さい声になってしまって、

多分聞こえたのははる君だけ。

「……は、はる君……帰ろ…」

「………ああ…」

はる君の返事を聞いて歩き出す私たち。

けど…

「…….」

「……」

…沈黙…。

だってだってっ、

なんかさっきの私なんだったんだろうって

まだ自分でも混乱してるしっ…

よくわからなくて、

もやもやして、

なんだか、きゅって…

そう思って胸を押さえていると、

前から1組のカップルが

歩いてくるのが見える。

…い、いちゃいちゃしてる…

目のやり場がっ…

そう思って目をキョロキョロさせていると…

「好きっ!」

「うん、俺も」

そんな会話が聞こえてきて

はたと足を止める。