「図書館?なにかトラブルでもあったのか?」
ルークが尋ねると、レアラは消え入りそうな声で話し始めた。

「あのね、私、本を借りようと思って、本を持ってカウンターまで行ったの。
そしたら、高校生の男の人達がカウンターの前でギャーギャー騒いでて、どうしようもできなかったから、その人たちを後ろで見てたの。」
「ふむふむ」
「そしたら、1人が振り返って、『何だお前、俺たちになんか用か?』って言ってきて、びっくりし過ぎて私、本を取り落としちゃったの。そしたら、本がその人の足にぶつかって...」

「レアラお前やらかしたな」
ショウがため息混じりに言った。
するとレアラは泣きそうになりながら、
「いや、私もわざとじゃないんだよ?!
だけど、なんか怖くなって...。
男の人には怒鳴られるし、図書館の先生には『暴れるな!』って説教されたし」
と言った。

「お前さぁ....ほんとにドンマイとしか言いようがないな」
ルークが呆れた顔で言った。

「ちょっとルーク、レアラは悪くないんだからそんな風にいわないでよ」
クリアが首を突っ込む。

「まぁ、とりあえず課題を終わらせようよ。レアラ、一応本は借りてこれたんだよな?」
ショウが言うと、レアラはにこっと笑って「この通り」と本を机に置いた。

「サラルカ村の歴史を調べるの?」
クリアが尋ねる。
「人の出入りがまずないサラルカ村なんかに、歴史なんかあるのか?」
「もし、言い情報が見つからなかったら、テーマを変えるつもりだけど...」

「あっ、あのね、ショウくん」
レアラがショウを見て言った。

「何だよ」
「あのね、サラルカ村の本がまずあまりなかったの。あった分は全部借りてきたんだけど」
「はぁ?!たった5冊かよ?!」
「ルークうるさい」
「ごめんショウ」
「その、図書館の先生にも聞いたんだけど、貸し出しもしてないし、そもそもサラルカ村のはっきりした情報が存在しないんだって」

レアラが持ってきた本は、「サラルカ村全体地図」「サラルカ村の食文化」「図鑑で見るサラルカ村の自然」「サラルカ村の海の生き物」「サラルカ村大百科」の5冊だった。

クリアがひょいと本を1冊手にとって、
「サラルカ村大百科...かぁ。
1番ありそうなのがこの本だよね」
と言いながらページをパラパラとめくった。

「どう?ありそうか?」
ルークが聞くが、クリアは首を横に振って、
「目次も見たけど、歴史なんて項目すらない」と言った。

「くっそ、どうするんだ!!
歴史じゃなかったら、なに調べるんだよ!!」ルークが叫ぶ。

「ごっ、ごめんなさいっっ」
「なんでレアラが謝るのさ」
ショウが言うが、レアラは今にも泣きそうだ。

「ねぇねぇ、歴史とは全く関係ないけど、『サラルカ村に潜む伝説』って項目があるよ?」
クリアが言った。
「伝説?」
「ほら、サラルカ村って山奥から出てはいけないってあるじゃない。でもここに載ってるのは、サラルカ村の外の話」

4人はそろって顔を見合わせた。