「蓮…」

あたしの耳からイヤホンを取る蓮。

「会えなくなる前に、言えなくなる前に」

なんで知ってるのかな。

「俺が知らねえ訳ねえだろ。はやく行けよ。まだ中庭にいるから」

「え、でも」

蓮が腕を引っ張ってあたしの体を起こしてくれる。

「ほんとに今日で最後なんだぞ。あいつ、今日の夜の電車で東京行くから」

「嘘でしょ…」

「俺がお前に嘘ついたことあったかよ?」

…ない。

静かに首を横にふる。

「行ってくる!ありがと」

蓮のおっきい手があたしの頭をぐしゃぐしゃにする。

あたしは立ち上がり、走り出す。