部屋の空気がブルリと震えた。


土「おい、総司。ソイツから話を聞きてぇんだよ。」



 土方は真っ直ぐに私を見据えてくる。



 吸い込まれそうな漆黒の瞳から、視線をそらすことは出来なかった。



土「単刀直入に聞く。お前は猫夜叉なのか?」



美「そうだ。」


 その場にいた奴ら(沖田以外)は驚いたように目を見開く。


土「では、今まで何人もの長州の奴らを殺してきたんだな?」


美「そうだ。」


土「なぜだ?」


美「お前に言う必要があるとは私は思えないのだが。」


土「助けてもらった礼も言えねえのかよ。」



 土方は威圧的に私を見る。



 あぁ!今すぐ斬り殺してやりたい。


美「女に手ぇ上げといて、詫びの1つも入れられないの?」



土「ぐっ……………」




 土方は悔しそうに顔を歪める。



 私は素直じゃないな。



 着ていた着物をただし、外へ出ようとする。



土「どこへ行く。」



美「決まってんでしょ。家だよ。」



土「まだ、話は終わっていない。」



美「私から話す事はもう何もない。」




 黙って様子を見ていた奴らを一瞥し、部屋を出ようとする。




美「私は美夜。傷の手当、有り難う。」



 私は微笑む。



 作り笑顔だが。




美「だがな。私の正体を誰かに明かせば、猫夜叉はお前らを…………」



 私は、間を置いて、言う。




美「殺す。」