ドタドタドタトタ



 急いで襖に手をかけようとする。


 
 だけど、手が止まった。



 もし、皆が私の声をわすれていたら?



 声を真っ先に聞いたとき、私とわかるだろうか。




 どうしようもなく不安になり、広間へ入るのをためらっていた。




 襖に体重をかけかけたその時。





土「おいうるせーぞ!」



 土方が襖を開けたのだ。



 体重を支える物が無くなり、必然的に体重は土方の方へ。



美「え?うわわっ!」




ドサッ





「「「「「「…………………!?」」」」」」






 そう、傍から見れば私が土方を押し倒している状況になる。



 整った顔が間近にあり、顔の体温が一気に上がる。




美「ごっごめん!!」



 私は慌てて飛び退く。




 でも、広間のきょとん、とした空気は変わらぬまま。



 ……………あ。




 私今、普通に喋った。




土「お前、耳が聴こえるのか?」




美「…………うん。朝起きたらさ。」




 はにかむように微笑むと、ガバッと総司が抱きついてきた。



総「良かった…………ほんとに良かった……………」




 私の耳元で呟かれた言葉は、心配するような声で、心が暖かくなった。




美「心配かけてごめんね。今からちゃんと話すから。」




 



美「…………てかその前に、私の文机に置いてあった文知らない?」





左「コレのことか?」




 そう言った左之は、正に私が書いた文を持っていた。



美「そうそうそれ!…………なんでもってんの?」



平「総司が朝持ってきたぜ。」




 なに?!


 私は総司を睨みつけるも、総司はおちゃらけた笑顔を見せる。



 いつの間に……………






美「………読んだ?」



 私の問いかけに、土方はゆっくりと頷いた。




 じゃあ、話は早いか。





 私は皆に、朝の美咲菜様の一件を皆に話した。



 自分の命があと一年半しか無いことは、隠して。