「ねえねえ、柳瀬さん。あのとき、なんて言ったの?」



あの事件が解決して以来、どうやって角谷を黙らせたのかをしつこく聞くことが、薫の日課となりつつあった。




いくら薫といえど、アレを言うわけにはいかない。




アレは、私にビビって逃げ惑う角谷を見て楽しむための脅し文句なのだから。




だから、代わりにと言ってはなんだが、私は薫の耳元で呟く。







「薫、私ーーーー。」