「前から申し上げていますように、私は何もありません。大丈夫です。ご心配おかけして申し訳ありません。」

そう返すが、なかなか向こうも引き下がらない。

「じゃあ、あの痣はどうやったらできたんだ?俺が納得できるように説明しろ。」

私に話す気がないのが、伝わったのか少し口調が強くなった。

「先生には関係ありません。」

そう言って逃げる。

理由なんて一つしかない。

でもそれは絶対に知られてはならない。

「誰かにやられたんだろ?自分ではあそこまでできないはずだ。誰にやられたんだ??」

さすがにしつこい。

もうその話はうんざりだ。

「先生。心配だからって何をしてもいいんですか?何にも知らないくせに、人の心に中にズカズカと土足で入り込んで…傷えぐって…。楽しいですか??私は何も望んでいません。先生はその要さんという人と私を重ねているだけです。先生が私を心配してくださっていることは重々承知しておりますが、私は大丈夫です。」

そう静かに言って先生の勢いを抑える。

そのはずだった。

「言いたいことはそれだけか?」

「え?」

思わず声をあげてしまった。

何を言ってるの??

私の話、ちゃんと聞いてた?