辛かったよな。

お前はお前なりに兄貴を想って傷ついていた。

だからずっと自分を責め続けてきたんだ。

でも違うよ。

お前の想いはちゃんと兄貴に届いてる。

だからもう自分を責めるな。

あいつもそんなこと望んでない。

ずっと一緒に生きてきたんだ。

お前が一番よく分かってるはずだろ??

「蒼。よく聞いて。」

優しくだけど強く話しかけ、蒼の瞳をしっかり見る。

「要はよく言ってたよ。俺は特にやりたいこともないから蒼はすごいって。ちゃんと自分の夢を持って頑張ってるって。嬉しそうに話してた。要にとって蒼は希望だったんじゃないか??たった一人の弟だから…大切な弟だから…蒼には自分の思うままに歩んで欲しい---。そう思ったから…蒼のことずっと応援してたから…要は医者になることを決意したんだと思うよ。だから蒼は自分を責めるな。蒼をそんなふうにさせるために、要は医者になろうとしたんじゃない。自分のことなんかいつも後回しで、周りの人を大切にする。それが要だった。お前だって分かってるだろ?」

溢れる涙を拭いながら蒼は何度も頷いていた。

俺の想いはちゃんと届いたようだ。

よかった。

要…。

俺はこうやって傷ついた心を癒してあげたい。

俺、頑張るよ。

だから空から見守っていて。

蒼のことも。

そして俺のことも、みんなのことも。

辛くなったら、空を見上げるよ。

瞳を閉じてお前の笑顔を思い出す。

お前がいつだって見守ってくれていると信じてる。

お前はずっと俺の心の中で生き続ける。

だから1人じゃないよな??

俺も。お前も。

俺は精一杯生きるよ。

そう空に向かって心の中でささやいた。