「申し訳ありません。」

麻生が静かに立って頭を下げている。

「いや、いいんだ。大事な進路の確認はもう済んだから。」

「すみません。」

そう言っても麻生は謝るばかりだった。

「なあ、麻生。やっぱり俺はお前が心配だ。あの日の前に何があった?」

「あの日っていつですか?」

分かってるだろ?

どうしてはぐらかす?

「お前が三者面談の用紙を持ってきた日。」

「別に何もありませんよ。今日はすみませんでした。ありがとうございました。もう失礼してよろしいでしょうか?」

そんなに話したくないか。

そんなに俺といたくない?

「わかったよ。でももう少しだけ俺に付き合って。話を聞いてくれ。」

「分かりました。手短にお願いします。」

渋々という感じだな。

でも俺は構わず話し始めた。