笑顔の裏側に

「優美ちゃん、神谷の気持ちだけはちゃんと受け取ってやってね。」

「え？」

意味が分からず、困惑する。

「神谷がここで働いてたのは優美ちゃんのためだよ。」

「どういうことですか？」

必死で問い詰める私に戸惑った様子だったけど、躊躇いながらも口を割ってくれた。

「神谷は優美ちゃんにクリスマスプレゼントを渡すために頑張ってたんだよ。」

そこで頭に思い浮かぶのは、クリスマスイブにもらったオルゴール。

そのために必死に働いてくれていたんだ。

そう考えると全てが繋がった。

私に嘘までついていきなりバイトを始めた理由も。

熱があっても、絶対に休まなかったのも。

そしてもう一つの可能性が頭をよぎった。

私のバイトが終わった後、ここに来させて一緒に帰っていたのも。

もとからそういうつもりでバイト先を選んだのかもしれない。

たとえそれが私の思い過ごしだとしても。

私の胸を締め付けるのには十分だった。

それからマスターにお礼を言って、カフェを後にした。

マンションに帰って一番に向かうのは、自室。

引き出しを開けて、箱を取り出した。

手に取ってぜんまいを回せば、あの時と同じ「星に願いを」が流れる。

心にすうっと溶け込んでくる優しい音が、涙を誘う。

そのままズルズルと座り込んで、悠の優しさにただただ涙した。